子供の頃から、電子楽器に興味を持っていた私は、その歴史や構造を勉強する中で、演奏や作曲に使うだけでなく、電気信号を混ぜ合わせて、様々な現象を起こす装置であることに気付いた。電気は、その状態を様々に変化させることで、音にも、光にも、動力や通信にも応用出来る。
実際に自分で装置を作り始め、多くのアーティストとコラボレーションを続ける中で、冨岡さんと出会った。
冨岡さんの作品に感動したのは、マシン自体、マシンに触ることで起きる現象の美しさはもちろんだが、人の操作がマシンを通して現象となり、それを見た人が、また操作方法を変えていくという一連のフィードバックを持ったシステムにだった。しかも現象自体が、近年のコンピューターを利用したものよりも、微妙な変化とレスポンスを持っていることだった。実際に目の前で物理現象が起こっている強みであろう。
今回、画廊という空間で、単にお互いの作品が場を共有するだけでなく、現象
の流れを体験出来るコラボレーションを試みた。
米本 実 |